アニメーターは、日本の文化を代表するアニメーション制作を支える、多くの人にとって憧れの職業です。しかしその一方で、「給料が安い」「労働環境が厳しい」といったイメージも根強くあります。
本記事では、アニメーターの給料の実情や収入を上げるためのポイントについて解説しています。アニメーターを目指す上で求められるスキルや向いている人の特徴も解説しているので、アニメーターへの転職を考えている方はぜひご覧ください。
アニメーターの給料は業界内で安い傾向にある

アニメーターの給料は、作品制作における重要性や専門性の高さに反して、アニメ業界内でも比較的安い水準にあるのが実情です。現在のアニメーターの給与事情について解説します。
アニメーターの平均年収は約442万円
厚生労働省の職業情報サイト「job tag」によると、アニメーターの平均年収は約442万円と公表されています。日本の給与所得者全体の平均年収と比較すると、同程度かやや低い水準です。
ただし、平均年収は長年の経験を持つベテランから、キャリアを始めたばかりの若手までを含んだ平均値である点に注意が必要です。実態としては、一部の高収入な作画監督などが平均値を引き上げており、多くのアニメーターの年収は平均を下回っています。
アニメ関連職種と比較したアニメーターの平均年収の低さ
アニメーターの年収は、同じアニメ制作に関わる他の専門職と比較しても、低い水準に留まる傾向があります。
文化庁が令和4年度発表した「アニメーション制作者実態調査2023」によれば、原画や3DCG、動画検査などの職種は編集や音響・楽曲、プロデューサーや制作デスクなどと比較して、平均年収が低いです。
アニメーターは作画という制作工程の根幹を担いますが、貢献度が必ずしも給与に直接反映されるわけではないことを理解しておく必要があります。
特に若手のアニメーターの年収は低い
アニメーターの給与問題の中でも、キャリアを始めたばかりの若手アニメーターの低年収は特に深刻な課題です。「アニメーション制作者実態調査2023」の年齢階層別平均年収を見ると、35歳未満と35歳以上で平均年収に大きな乖離が見られます。
若手のアニメーターは生活が苦しくなることも多く、経済的な問題から仕事が続けられなくなる人も多いです。
アニメーターの給料が低い原因

アニメーターの給料が低い原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- アニメの制作予算が少ないため
- 需要と供給のバランスが崩れているため
- 出来高制のアニメ制作会社が多いため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アニメの制作予算が少ないため
アニメーターの給料が低い根本的な原因の1つに、アニメ1作品あたりの制作予算が限られていることが挙げられます。日本のアニメ制作は、テレビ局や複数の企業からなる製作委員会が出資するビジネスモデルが主流です。
制作会社は、その限られた予算の中から、監督や声優、音響スタッフや作画スタッフといった関係者の人件費を捻出しなければなりません。結果として、末端の作業者であるアニメーターに配分される報酬が低くならざるを得ない状況です。
一方で、近年はアニメの世界的な人気を背景に、海外企業からの出資も増えており、制作費の問題が徐々に解消されつつあります。
需要と供給のバランスが崩れているため
アニメーターという職業の需要に対して成り手の供給が過多になっていることも、給料が上がりにくい一因です。アニメーターは人気の高い職業であり、毎年多くの人が業界を目指します。
そのため、制作会社側は比較的安価な労働力を確保しやすい状況にあります。労働市場が買い手市場であるため、個々のアニメーターが単価の交渉をしにくい構造が生まれている状況です。
そのため、アニメーターとして安定した給与を得るためには、他のアニメーター以上に優れたスキルを習得する必要があります。作画スキルだけでなく、プロジェクトを円滑に進めるコミュニケーション能力や、他の職種に求められるスキルを習得することで、円滑なキャリアアップを期待できるでしょう。
アニメーターが給料を上げるためのポイント

アニメーターが給料を上げるためには、以下のようなポイントに着目し、実際に行動していくことが重要です。
- 別のアニメ関連職種へのキャリアアップを目指す
- 待遇の良い企業に転職する
- フリーランスとしてキャリアを積む
- アニメーターとして勤め続ける
別のアニメ関連職種へのキャリアアップを目指す
アニメーターとして培った画力や経験を活かし、より専門性が高く待遇の良い職種へキャリアアップすることが、給料を上げる有効な方法です。
例えば、作画担当として働きながらプロジェクトの進行に関するスキルを身に付けていけば、作画監督や進行管理へのキャリアアップが目指せます。
また、背景美術や3DCG、演出などに必要なスキルを新たに習得することで、作画以外にできる業務が増え、待遇が良くなる可能性もあります。
以上のように、現状の業務に囚われず、キャリアアップのための経験やスキルの習得を怠らないことが、給料を上げるためには重要です。
待遇の良い企業に転職する
同じアニメーターという職種であっても、所属する企業によって給与体系や福利厚生は大きく異なります。そのため、より待遇の良い企業へ転職することは、収入を上げるための直接的な手段となります。
大手のアニメ制作会社や、自社で強力なIPを持つ企業などでは、比較的安定した給与や手厚い福利厚生が期待できます。近年はインターネット配信の拡大でアニメーターの需要がさらに高まっており、給与を高く設定している企業も少なくありません。
自身のスキルや実績をポートフォリオで示し、より良い労働条件を提示する企業へ移ることで、収入の向上を目指しましょう。
フリーランスとしてキャリアを積む
高いスキルと業界内での人脈を築いたアニメーターであれば、フリーランスとして独立することで収入アップが期待できます。
フリーランスは複数の制作会社から仕事を掛け持ちできる上、契約時に制作会社と報酬の相談もしやすいです。そのため、立ち回り次第では会社員時代を大きく上回る年収を得られる可能性があります。
ただし、自身で営業やスケジュール管理を行う必要があり、実力がなければ仕事が途絶えるリスクもあるため、独立前にスキルを現場で磨き、人脈を形成しておくことが重要です。
アニメーターとして勤め続ける
すぐに収入が上がらなくても、1つの会社でアニメーターとして地道に経験を積み続けることも、長期的に見れば給料を上げる方法の1つです。
「アニメーション制作者実態調査2023」によると、35歳を境に平均年収が大きく上がっています。長く働くことで、より上流の業務を任される機会が増え、キャリアアップにつながります。
責任あるポジションに就き、安定した給与を得たいのであれば、アニメーターとして働き続けることも、視野に入れておくと良いでしょう。
アニメーターに転職するために必要なスキル

アニメーターに転職するためには、以下のような必要なスキルが必要です。
- 画力スキル
- コミュニケーション能力
- タスク管理能力
それぞれ詳しく解説します。
画力スキル
アニメーターにとって、画力は基本的かつ特に重要なスキルです。キャラクターの表情や動きを豊かに表現するためのデッサン力、人や物の構造を正確に捉えるためのパース(遠近法)の知識などが必要になります。
単に絵が上手いだけでなく、キャラクターデザインに沿って、様々な角度から安定したクオリティの絵を描き続ける能力が必要です。また、納期までに要求された枚数の絵を描き上げるスピードも求められます。
コミュニケーション能力
アニメ制作は多くのスタッフが関わるチーム作業であるため、円滑なコミュニケーション能力が不可欠です。監督や作画監督の指示を正確に理解し、意図を汲み取って作画に反映させる必要があります。
また、不明点や問題点があれば、自ら質問や相談をすることも重要です。チームの一員として、他のスタッフと協力しながら作品を創り上げていく協調性があれば、円滑な仕事を進めることができるでしょう。
タスク管理能力
アニメーターの仕事は、厳しい納期との戦いです。特に作画担当は、膨大な枚数の作画を限られた時間の中で仕上げなければなりません。そのため、自身の作業スピードを正確に把握し、締め切りから逆算して計画的に仕事を進めるタスク管理能力が求められます。
複数のカットを同時に担当することも多いため、どの作業を優先すべきかを判断し、効率的に進めていく自己管理能力が不可欠です。
アニメーターに向いている人の特徴

アニメーターに向いている人の特徴は以下の通りです。
- 絵を描くことを苦としない人
- 柔軟性と対応力がある人
- 体力や精神力に自信がある人
- アニメ業界の新しい情報を能動的にキャッチできる人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
絵を描くことを苦としない人
アニメーターは一日中机に向かって絵を描き続ける仕事です。そのため、前提として絵を描くこと自体が好きで、長時間集中して作業することが苦にならない人が向いています。
趣味で絵を描くのとは異なり、仕事として厳しい要求や納期に応えながら描き続ける必要があります。好きという気持ちが、プロとして成長していく上での大きな原動力となり、業務上で発生した問題や精神的な負担を乗り越える支えになるでしょう。
柔軟性と対応力がある人
アニメ制作の現場では、監督や作画監督からの修正指示は日常茶飯事です。自分の描いた絵に対して、何度もリテイクを求められることも少なくありません。そのため、こだわりが強すぎたり、プライドが高すぎたりすると、ストレスを感じてしまいます。
また、業務上のトラブルが発生した際は、納期までに仕事を終わらせるためにイレギュラーな業務に対応できる能力が不可欠です。
他者からの指摘を素直に受け入れられる柔軟性と、臨機応変な対応ができる能力がある人は、アニメーターに向いているといえるでしょう。
体力や精神力に自信がある人
アニメーターの仕事は長時間座りっぱなしのデスクワークであり、納期前には徹夜が続くこともあるなど、体力的な消耗も激しいです。そのため、肩こりや腰痛、眼精疲労といった職業病に悩まされる人も少なくありません。
また、厳しい納期や作画のプレッシャーに耐える精神的なタフさも必要です。日頃から体調管理をしっかりと行い、心身ともに健康な状態で仕事に臨めることが、長く業界で活躍するための条件となります。
アニメ業界の新しい情報を能動的にキャッチできる人
アニメの作画技術や表現方法は、CG技術の導入や新しい作画ツールの登場などによって、日々進化しています。そのため、業界に関する新しい情報を自ら収集し、能動的に学習する姿勢が重要です。
自身のスキルを常にアップデートし、新しい技術や表現に挑戦する意欲がある人がアニメーターとして成長し続けられます。
未経験からアニメーターに転職する方法

未経験からアニメーターに転職したいのであれば、以下のような方法を検討しましょう。
- 専門学校に通う
- 独学でスキルを身に付ける
- 転職エージェントを活用する
それぞれ詳しく解説します。
専門学校に通う
未経験からアニメーターを目指す上で、一般的なルートの1つが専門学校や美術大学で専門知識と技術を学ぶことです。学校では、デッサンなどの基礎画力から、アニメーション制作の専門的な技術までを体系的に学ぶことができます。
また、業界との繋がりが強い学校であれば、就職先の紹介やインターンシップの機会を得やすいこともメリットです。また、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨してスキルを磨けるため、モチベーションを保ちやすいのも魅力です。
独学でスキルを身に付ける
専門学校に通わずに、独学でスキルを習得してアニメーターになる方法もあります。市販の教本やオンラインの学習教材などを活用して画力を磨くことで、アニメーターに転職するための道が開けます。
また、自身のスキルを証明するポートフォリオを作成すると、採用の際に有利になります。独学でプロレベルの画力を身に付けるには、強い意志と継続的な努力が不可欠ですが、実力さえあれば学歴に関係なく採用される可能性があるのがアニメ業界です。
転職エージェントを活用する
画力やスキルにある程度の自信があるものの、就職活動の進め方が分からない場合は、転職エージェントを活用するのも有効な手段です。特に、エンタメ業界に特化したエージェントであれば、アニメ制作会社の求人情報を多数保有している場合があります。
また、専門のキャリアアドバイザーからポートフォリオの添削や業界の動向についての情報提供を受けることもできるので、転職活動を効率良く進めることが可能です。
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