“タレントキャリアアドバイザー”別府彩が聞く! 元AKB48・近野莉菜さんの“好きな事を仕事にする”セカンドキャリア。 ファッション業界で活かせる、元アイドルが持つスキルとは?

 

“タレントキャリアアドバイザー”別府彩が聞く!タレントのキャリア特集。

今回は、14歳で第二回研究生(5期生)としてAKB48メンバーとなり、その後ジャカルタを拠点とするJKT48に移籍した近野莉菜さんのインタビューをお届けします。

現在はファッションブランド「CELFORD」のプレスとして活躍されている近野さんにお話を伺いました。

 

近野莉菜さん
JKT48、AKB48の元メンバー。2018年に卒業、アイドルからファッション業界へキャリアチェンジ。現在は株式会社マッシュスタイルラボでブランド「CELFORD」のプレスを務めている。

株式会社マッシュスタイルラボ
マッシュグループのファッション部門。「CELFORD」の他に「SNIDEL」「gelato pique」など個性豊かな数々のブランドを手掛けている。

この記事の監修者

別府 彩
別府 彩タレントキャリアアドバイザー

元フリーアナウンサー/タレント。
大学卒業後、およそ10年間フリーアナウンサーとして活動。31歳のときにグラビア写真集「彩色」(竹書房)を出版。
「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ)に出演するなど、バラエティ番組やラジオパーソナリティ、テレビCMナレーターなどの経験を持つ。
33歳で芸能界を引退、広告代理店に正社員として就職。イベント運営会社、イベントコンパニオン事務所を経て2019年に株式会社エイスリーに入社。
現在は、アナウンサーから会社員という自身の転職経験を活かし、日本初の“タレントキャリアアドバイザー”として、芸能人やクリエイターのパラレルキャリア・セカンドキャリアのサポートを行っている。

Twitter
https://twitter.com/a3_ayabeppu

14歳から駆け抜けてきたアイドルとしてのキャリア。24歳で卒業を決めた理由とセカンドキャリアを掴んだ行動力。

―― アイドルからのキャリアチェンジに踏み切ったきっかけは何だったのでしょうか。

当時はJKT48として、ジャカルタで活動していました。

辞めるきっかけになったのは、自分自身が10周年を迎え、区切りになると考えたことが1つ。そして、もう1つは年齢です。その時は24歳で、今なら他のことにもチャレンジできるのではないかと思い、卒業を決めました。

―― 24歳でアイドルとしてすでに10年のキャリアを重ねていたんですね!

小学生の頃に歌や声のお仕事もしていて、2007年にAKB48に入りました。

20歳を目の前にして将来どうすべきか悩んだ時期がありました。AKBの中では中堅の層にいたんですが、このまま卒業するのも夢がないし、かといって芸能を続けていく自信もなくて。

その頃、ジャカルタにJKT48、上海にはSNH48というグループが海外の姉妹グループとして発足したんです。留学に興味もあったので、最初はわりと軽い気持ちでジャカルタに行くことにしたんです。

―― 10代からアイドルをされていたから、将来のキャリアについて考えるタイミングが人より早いですよね。

そうですね。それまではやりたいことがあって、どんどんチャレンジしていけたのに、自分が本当に何をやりたいのか、それが見つからなかった時が一番つらかったですね。

24歳のとき、次に何をやりたいのかをじっくり考える中で、自分が好きなファッションの道に進もうと決めました。

以前から当社のブランドが好きで、ぜひ入社したいと思ったんですが、それまでアルバイトも経験したことがなかったので、どうやって就職するのかすら分からなくて。

会社のことを知るためにも、アルバイトから始めたほうがいいのではないかと考えたんです。

―― アルバイトで始めるほうが転職のハードルも下がりますよね。最初はアルバイトの面接を受けたのでしょうか。

マッシュスタイルラボには、私がアイドル時代に所属していた事務所の先輩がいらっしゃることを知っていました。それも入社の一つの決め手になりました。

ただ、先輩の連絡先もわからなかったので、会うためにどうしようか考えました。

そのブランドのお洋服をよく着ているAKB48の先輩に声をかけたら、ブランド展示会の招待状を持っていらっしゃったんです!まさに声をかけたその当日に、連れていっていただけたんです。そこで事務所の先輩にもお会いすることができたので直談判して、アルバイトとして入社しました。

私、こうと決めたら突き進むタイプなんです(笑)

20代の頃は「SNIDEL」や「gelato pique」が好きで、よく着ていました。ただ、セカンドキャリアを考えた時に、もう少し上の年齢層をターゲットにしたブランドのほうが将来的に長く働けるのではないかと。いろいろと考えた末、働きたいと思ったブランドは「FRAY I.D」でした。将来の安定を求めたんです。ファッションだけではなく、ビューティーや飲食など多角的な経営をしていたことも、この会社を選んだ理由の一つでした。

アイドル時代に養った「ファン心を掴むスキル」と持ち前の「負けん気」で、数ヶ月で売上トップに。

―― 実際に働き始めて、仕事はいかがでしたか。

最初は店舗の販売員として働き始めました。

AKB48もファンの方と接して応援していただくという点では、広い意味で接客業のようなものです。

アイドルを10年やってきた自負がありましたので、他の店舗スタッフには負けたくないという思いがあり、どうやって売上を作るかを常に考えて工夫していました。

誰よりも速くお客さまに声をかけることから始め、所属店舗で1位の売り上げを達成しました。それが自信にもつながりましたし、アルバイト採用から正社員採用まで通常なら3年程度かかるのですが、少々早く正社員登用の声をかけていただくことができました。

その分、人よりも頑張らなければいけないと思い、気持ちが引き締まりましたね。元アイドルだからという特別扱いではないことを、きちんと実力で証明したかったのだと思います。

―― 負けたくないという気持ちを真っすぐ「売り上げ1位になる」というところに向けることができたのは、やはりそれまでのAKB48の10年間があったからですよね。

同じ戦い方ですよね(笑)

AKB48に入った頃は「他のメンバーに負けたくない」という気持ちが強かったのですが、人気の優劣が明白になっていくなかで「頑張っても無理かも…」と諦めに近い気持ちになっていきました。

売上1位を築いたのは、私の性格本来の負けず嫌いが出たような気がします。

―― アイドルとしての努力は“=人気”とはいかないかもしれませんが、販売というお仕事は自分の頑張りが結果として見えやすいように思います。

アイドルは、やはり多くの方たちに知ってもらうためにはテレビなどへの露出が大事で、劇場で頑張るだけでは人気は獲得できませんでした。

一方で、販売員として売上アップさせることは大きなやりがいがありましたし、実績を挙げることで「本当はできるんだ!」と、失いかけていた自信を取り戻せたんです。

憧れのマッシュスタイルラボ本社勤務。しかし未経験のオフィスワークに悪戦苦闘!

―― 正社員として本社に入られてからのお仕事はいかがでしたか。

当社では、リース担当を経験してからブランドに配属されるシステムになっています。

リースチームでは、雑誌やテレビなどの媒体に、スタイリストの方を通してお洋服を貸し出します。最初はスタイリストさんとのやり取りがメインの業務で、その後に配属されたのがSNIDELのブランドPRです。

―― ブランドPRの業務内容について教えてください。

業務内容としては、ブランドの世界観をお客さまに伝えることが一番メインの業務になります。外部とのやり取りもありますし、デジタルカタログなどの企画立案など、ブランド戦略に関わる仕事です。

―― 企画することはもともとお好きでしたか。 

実は、全然アイデアが浮かばないタイプで(笑)

以前はどちらかというと直感で動いていたと思います。今のお仕事に就いてからは、もっと深く物事を考えるようになりました。

自分ではなくブランドを伝えるということは、アイドルや販売員とはまったく違うと感じます。自分を売ることは得意でしたが、ブランド配属になって振り出しに戻った感覚がありました。リースチームとも業務内容が異なりましたし。

―― 仕事で苦労したことは他にもありましたか。

14歳で芸能界に入ったこともあり、パソコン操作でつまずきました。

ExcelやWordも、PDFすらも分からない状態でしたので、当時の上司の方にはすごく助けていただきました。パソコンの電源を入れるところから始まって、もう本当にてんやわんやでした。

あとは、やらなければいけないことが多過ぎて、パニック状態になったこともありました。

アイドル時代は目の前のことを全力で頑張るという感じでしたので、細かいタスクに優先順位をどうつけてこなしていけばいいのか、まったく分かりませんでしたね。

今はようやくスケジュール管理もできて、業務もこなせるようになりましたが、当時は本当にご迷惑をおかけしたと思います。

アイドルもブランドPRも、行動力でやりたいことを実現してきた近野さん。現役アイドルの方たちに伝えたいメッセージとは?

―― 現在の肩書はサブチーフプレスということですが、今のお仕事は充実していますか。

今が一番楽しいかもしれません。業務を俯瞰して見ることができるようになったことと、自信がついてきたことがその理由だと思います。

ブランドPR施策のひとつで、お客様向けにインスタライブをするんです。出演者としてアイテム紹介などを行うのですが、オンライン上で接客しているような感じなんですよね。

―― 店舗での接客もそうですが、ブランドの魅力を伝える仕事には、アイドルの経験を活かせる場面がたくさんあるような気がします。

そうですね。それを最も発揮できる場がPRだったのだと思います。

今の仕事を始めてから、アイドル時代の経験で活かせることは何もないと思っていたのですが、役立つことがあることに気付きました。

正直に言うと、PRのお仕事についてあまり分からないまま始めましたが、最適だったと今は思います。

―― 芸能界は年齢に関係なく活躍できる世界だと思いますが、セカンドキャリアを歩んでいる方も多いと思います。現役のアイドルの方に対して、メッセージをお願いします。

実際に経験したからこそ言えるのですが、やりたいことを言葉にして、そして自分から行動することで、本当に夢はかなうと思うのです。アイドルも、ブランドPRも、すべて自分で決めて自分で行動することで実現してきました。年齢関係なく興味のあることにチャレンジしていくことが、今後の自分のためにもなると思います。

―― 最後に、近野さんご自身が今後チャレンジしたいことを教えてください。

今はサブチーフという立場ですが、1人でもブランドを回せるようなスキルをもっと身に付けていきたいと思います。

―― ありがとうございました!